マダニを媒介した感染症に注意!
更新日:2024年4月1日
問い合わせ先:地域保健課 予防接種室
マダニに咬まれることで、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」や「日本紅斑熱」などの感染症に感染することがあります。
マダニは、森林や草地などに多く生息しています。
春から秋にかけてキャンプ、ハイキング、農作業など、草むらで活動する機会が多くなる季節になりますので、ダニに咬まれないように注意しましょう。
マダニを媒介した感染症
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルス(SFTSV)に感染すると6日から2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。
血液所見では、血小板減少(10万/立方ミリメートル未満)、白血球減少(4000/立方ミリメートル未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められます。致死率は10~30%程度です。
ダニ媒介脳炎
ヨーロッパ亜型による感染では、そのほとんどが二相性の経過をたどります。第一相では発熱、頭痛、眼窩痛、全身の関節痛や筋肉痛が1週間程度続き、解熱後2から7日間は症状が消え、その後第二相には、痙攣、眩暈、知覚異常、麻痺(まひ)などの中枢神経系症状を呈します。致死率は1~2%、回復しても神経学的後遺症が10~20%にみられるといわれています。
極東亜型による感染では、ヨーロッパ亜型のような二相性の病状は呈しませんが、極東亜型に感染した場合、徐々に発症し、頭痛、発熱、悪心、嘔吐が見られ、さらに悪化すると精神錯乱、昏睡(こんすい)、痙攣および麻痺などの脳炎症状が出現することもあります。致死率は20%以上、生存者の30~40%に神経学的後遺症がみられるといわれています。
シベリア亜型に感染した場合も徐々に発症しますが、その経過は極東亜型と比較して軽度であり、脳炎を発症しても麻痺を呈することはまれです。その致死率は6~8%を超えることはないと報告されています。しかしながらシベリア亜型と進行型慢性ダニ媒介脳炎との関連が示唆されており、進行性慢性ダニ媒介脳炎では1年を超える長期の潜伏期間あるいは臨床経過をたどります。
日本紅斑熱
感染すると、頭痛、発熱、倦怠感を伴うことがあります。
発熱、発疹、刺し口が主要三徴候で、ほとんどの症例にみられます。
つつが虫病との臨床的な鑑別が困難です。
※ただし、詳細に観察すると、
・発疹が体幹部より四肢末端部に比較的強く出現する(つつが虫病では主に体幹部にみられる)
・つつが虫病に比べ、刺し口の中心の痂皮(かさぶた)部分が小さい
などの特徴があります。
検査所見では、CRP(炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するたんぱく質)の上昇、肝酵素(AST、ALT)の上昇、血小板の減少などがみられます
つつが虫病
全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症します。体温は段階的に上昇し数日で40℃にも達します。刺し口は皮膚の柔らかい隠れた部分に多く、刺し口の所属リンパ節は発熱する前頃から次第に腫脹します。不定型の発疹が出現しますが、発疹は顔面、体幹に多く四肢(手足)には少ないです。テトラサイクリン系の有効な抗菌薬による治療が適切に行われると劇的に症状の改善がみられますが、重症になると肺炎や脳炎症状を来します。北海道を除く全国で発生がみられています。
ライム病
感染初期(stageI)は、咬まれた部分を中心とする限局性の特徴的な遊走性紅斑が現れることが多く、随伴症状として、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ様症状を伴うこともあります。紅斑の出現期間は数日から数週間といわれ、形状は環状紅斑または均一性紅斑がほとんどです。
播種期(stageII)には、体内循環を介して病原体が全身性に拡散し、皮膚症状、神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が見られます。
感染後期(stageIII)は、感染から数か月ないし数年を要します。播種期の症状に加えて、重度の皮膚症状、関節炎などを示すといわれています。日本では、感染後期に移行したとみられる症例は現在のところ報告されていません。症状としては、慢性萎縮性肢端皮膚炎、慢性関節炎、慢性脳脊髄炎などがあげられています。
ダニに咬まれないために
特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに咬まれる危険性が高まります。
~ダニに咬まれないためのポイント~
- 肌の露出を少なくする ⇒ 帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等
- 長袖・長ズボン・登山用スパッツ等を着用する ⇒ シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に
- 足を完全に覆う靴を履く ⇒ サンダル等は避ける
- 明るい色の服を着る (マダニを目視で確認しやすくするため)
※上着や作業着は家の中に持ち込まないようにしましょう。
※野外活動後は入浴し、マダニに咬まれていないか確認しましょう。特に、わきの下、足の付け根、手首、ひざの裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)などに注意
ダニに咬まれたら
マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、咬まれたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれがあるので、医療機関(皮膚科)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。
また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けてください。
【受診時に医師に伝えること】
(1)野外活動の日付
(2)場所
(3)発症前の行動
「ダニ」にご注意ください(厚生労働省作成リーフレット)(PDF:777KB)
マダニ対策、今できること(国立感染症研究所作成パンフレット)(PDF:2,963KB)
犬や猫から感染する可能性もあります
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、犬や猫にも感染します。
感染した犬や猫に咬まれる等により、人に感染する可能性も否定できません。
このため、ペットの犬や猫であっても、散歩で野山や草むら等、マダニの生息場所に行くことで、ペットにマダニが付着したり、吸血されたりすることがあります。
散歩後のペットの表面のチェックでマダニの室内への侵入を防ぐことや、ペットの様子を観察し、体調の変化に気をつけましょう。
万が一、マダニが犬や猫の体の表面にしっかりと食い込んでいる場合は、無理に取ろうとせず、動物病院にご相談ください。
無理にマダニを取ると、マダニの口の部分が動物の体に残り、化膿したり、マダニの体液が動物に流入してしまうことがあります。
また、取り除いたマダニに人が咬まれると重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染する可能性がありますので、注意が必要です。
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このページに関するお問い合わせ
健康スポーツ部 地域保健課 予防接種室
〒346-0192 久喜市菖蒲町新堀38番地
電話:0480-85-1111 Eメール:[email protected]
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