コウノトリ餌場実証実験事業「ふゆみず田んぼ」の取り組み
更新日:2024年3月11日
事業内容
コウノトリ餌場実証実験事業について
コウノトリ餌場実証実験事業は、ふゆみず田んぼを活用し、コウノトリを含む野鳥の餌場を作り、動植物の生態系の維持確保に向けた実証実験を行うものです。
事業名に掲げられるコウノトリは、生態系ピラミッドの頂点に立つ高次消費者であり、絶滅の危機に瀕している希少動物でもあることから、指標動物として設定されています。
ふゆみず田んぼとは
ふゆみず田んぼは冬期湛水や有機肥料栽培を組み合わせた耕作方法の一つです。水田において非耕作期となる冬の間も水を張ることで抑草効果と堆肥効果が得られるとされています。その副産物として、様々な生物の生息しやすい環境が形成され、生態系の保全にも有効であると考えられています。
この実験の目的
環境課ではふゆみず田んぼの生態系保全効果に目をつけ、予想される効果が実際に現れるのか、また生態系保全の為の手法として有効であるかについて明らかにするため検証を行いました。
検証方法
市内1箇所の水田にてふゆ水田んぼを実施し、コウノトリの採餌期間とされる6月を中心に生物量調査を行いました。これにより、ふゆみず田んぼを実施したことによる生物量の増減や、多様性の変化を調べ、結果から生態系保全への効果について考察しました。
生物量調査については、関東エコロジカル・ネットワーク推進協議会 コウノトリ生息環境整備・推進専門部会の「コウノトリの餌生物量調査マニュアル[農地版]」(外部サイト)に基づき行っています。
事業過程
コウノトリ餌場実証実験事業は、ふゆみず田んぼ先進地の視察や実施方法の協議に基づき候補地を選定し、実験田を決定しました。令和2年度から冬期湛水が開始され、令和3年度から令和5年度に掛けて有機肥料栽培と生物量調査を実施しました。
令和3年度から令和5年度までの取り組みの検証結果
生物量調査結果
調査日 | 単位面積当たりの 個体数(n/m2) |
単位面積当たりの 生物重量(kg/a) |
個体数(生物種数※生物量に 換算しない生物も含む) |
(参考値) | |||
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単位面積当たりの生物重量(kg/a) |
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コウノトリ先行繁殖地域(兵庫県豊岡市) | 渡良瀬遊水地エリア(令和3年度) | ||||||
R5 | 8月16日 | 0.816 |
0.056 | 2(3) | 2.743 | 0.029~1.724 ※久喜市での調査含む |
|
7月13日 | 1.224 | 0.076 | 6(3) | ||||
6月13日 | 0.816 | 0.027 | 2(2) | ||||
R4 | 6月30日 | 1.224 | 0.051 | 6(6) | |||
7月22日、8月2日 | 1.224 | 0.169 | 6(5) | ||||
R3 | 6月18日 | 1.224 | 0.472 | 6(3) |
・生物量の増減については、主に単位面積当たりの生物重量を参考としています。
・参考値として、令和3年度に渡良瀬遊水地エリア エコロジカル・ネットワーク推進協議会が令和3年に行った生物量調査の結果を記載しております。同調査は久喜市のふゆ水田んぼ実験田を含む渡良瀬遊水地エリア内の10か所の水田で行われています。
検証結果と考察
3年間の調査からは、主に次のことが分かりました。
・単位面積当たりの個体数、生物重量ともに増加傾向は見られませんでした。
・通常の耕作方法と比べると、有機肥料の使用により費用が増加しており、農家への負担が大きくありました。
以上の結果や関連する機関との意見交換から、ふゆみず田んぼが水田に与える影響は小さく、土地に備わる性質が生物量に強く影響していると推察されます。
このページに関するお問い合わせ
環境経済部 環境課
〒346-0192 久喜市菖蒲町新堀38番地
電話:0480-85-1111 Eメール:[email protected]
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