第146回 高輪寺遺跡(こうりんじいせき)
更新日:2024年4月1日
問い合わせ先:文化振興課文化財・歴史資料係
古い時代の遺跡は、台地という高まった地形の上に分布し、久喜市では菖蒲地区と久喜地区に多く見られます。今回は、久喜駅の辺りから東西に広がる台地の東側にある吉羽(よしば)地区の高輪寺遺跡を紹介します。
高輪寺遺跡は、昭和53年(1978)に吉羽地区土地区画整備事業に伴う発掘調査が実施されました。遺跡は複数の時代にまたがる複合遺跡で、特徴的な資料が複数見つかっています。
まず紹介するのは旧石器時代の石器です。これは掻器(そうき)と呼ばれる石器で、動物の毛皮から肉や脂(あぶら)を取り除くために使われた道具です。旧石器時代の遺跡は他の時代の遺跡と比べて発見事例が少なく、市内では高輪寺遺跡をはじめとした6遺跡が確認されています。
次に紹介するのは、縄文時代前期の竪穴(たてあな)住居です。竪穴住居は地面を掘って半地下状に造った住居で、縄文時代を通じて使用されました。特に高輪寺遺跡の竪穴住居は、住居の床面から縄文時代前期の土器片が見つかっていることから、同じ時期の住居であるとわかり、市内で確認されている竪穴住居跡の中で最も古いとされています。
最後に紹介するのは、弥生時代の石器です。これは、石を磨いて作った矢じりで、磨製石鏃(ませいせきぞく)といいます。弥生時代の痕跡は市内でほとんど見つかっておらず、磨製石鏃はこれが市内で唯一の事例であることから貴重な発見といえます。
このように、高輪寺遺跡では発見された資料の量こそ多くないものの、重要なものが多いため、久喜市を代表する遺跡の一つといえます。郷土資料館では磨製石鏃をはじめとした様々な考古資料を常設展示していますので、ぜひ見に来てください。
旧石器時代の掻器
旧石器時代の掻器
弥生時代の磨製石鏃
縄文時代の竪穴住居跡
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