第66回 木造毘沙門天立像(もくぞうびしゃもんてんりゅうぞう)
更新日:2018年7月25日
菖蒲地区の真言宗智山派(ちさんは)熊野山長福寺(くまのざんちょうふくじ)には、市指定文化財の木造毘沙門天立像が伝えられています。
毘沙門天とは仏法世界の北方を守護する四天王(してんのう)の一人多聞天(たもんてん)のことで、多聞天が独立して信仰される場合、毘沙門天とよんでいます。財宝を施す神としてもあがめられ、後世七福神(しちふくじん)の一人になっています。
像の姿は甲冑(かっちゅう)に身を固めた武将姿で、いきどおり怒った顔を示し、足下に邪鬼(じゃき)を踏みつけ、右手に三(み)つ叉(また)の戟(げき(武器))をとり、左手に宝塔(ほうとう)を掲げています。左に腰を捻(ひね)った、ゆったりとした身のこなしや、像の制作技法の特徴等から、平安時代後期の作と考えられています。
平成12年の修復事業の際に後世の着色が取り除かれ、像本来の姿が明らかとなりました。本像は上品で整った造形美を見せ、その出来映えから、関東ではなく美濃(みの)・近江(おうみ)等の畿内(きない)に近い地域で造立(ぞうりゅう)されたのではないかと推測されています。寺伝では、菖蒲地区の吉祥院(きちじょういん)の中興開山(ちゅうこうかいざん)の弘鑁(こうばん)が長福寺を開山(かいざん)したときに、吉祥院から移して、長福寺の本尊(ほんぞん)になったものであると伝えています。
本像の修復事業の詳細については、『菖蒲町指定有形文化財 木造毘沙門天立像修復事業報告書』(平成14年2月発行)をご覧ください。
なお、本像は秘仏(ひぶつ)になっていますが、正月三が日と8月13日から16日までの期間は公開していますので、ぜひご覧になってみてください。
所在地
長福寺(菖蒲町菖蒲4531)
吉祥院(菖蒲町菖蒲655)
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